初めて訪問歯科のバイトに行く先生「訪問歯科のバイトってどんな感じなのだろう。体験談をしりたいな…。緊張するし、なにか気をつけることがあれば教えてほしい。」
本記事ではこういった疑問にこたえます。
✔︎ 記事の信頼性
この記事を書いている私は歯科医師です。
大学を卒業して10年以上たちました。高齢者歯科を専門にしていて、複数の病院で働いています。
歯医者になって2年目の時に、バイトしていた一般歯科を逃げ出すようにやめて、病んだ時期があります。
永遠に休みたかったのですがお金もなかったので、ビビりながら訪問歯科のバイトを始めました。
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初めて訪問歯科の現場にいったときは緊張しまくりで、前日もあまり眠れませんでした。
ですが、幸運にも初日にめちゃくちゃいい先生に巡り合って、訪問歯科が好きになりました。
この経験から語ります。
【緊張】歯科医師の僕が初めて訪問歯科のバイトをした日
知らない一個人の体験談を長々聞いても「お前、誰やねん」ってなるだけなので、簡単に状況だけ説明します。
臨床のこまかい話はしていません。
伝えたい結論は「働く環境って死ぬほど大事だよね」ってことです。
わりとメンタルを病んでいた
歯医者になって2年目の話です。
当時、大きめの病院に所属していて給料が少なかったので土日に一般歯科でバイトを始めました。
そのバイト先が自分にとってはあまりにも厳しすぎて、血尿が出て8ヶ月でやめました。半ば逃げ出すように辞めたので、社会こわい…ってなりました。
>> 参考:【体験談】歯科医師として働いたら血尿が出た話【ストレス/辛かった】
平日は大きめの病院で高齢者を中心に診察していましたが、割とその土日のバイトはトラウマになってかなり病んでいたと思います。
とはいえ生活費を稼がなきゃならなかったので、怯えながらバイトを探すことにしました。
「訪問歯科」で探したのは、「高齢者歯科」に所属していたから…といういうシンプルな理由です。
やめてしまったバイト先は知り合いの紹介で入ったため、その後かなり気まずい思いをしました。
そのため、人を頼らずに転職サイトで探しました。
しがらみもツラすぎ…
結論、なんとなく見つけた訪問歯科に勇気を持って応募したら、サクサクっと決まった感じです。
初日はその病院に勤務する先生が同行してくれることになりました。
マジでいい先生だった
もうバイトの初日当日は、 緊張しまくって病院の前をうろうろしたりとか割と不審者でした。
また辛すぎる病院だったらどうしようとか色々考えてました。これでつらかったらもう歯医者やめようって思いましたね。
で、結果、いい病院でした。病院がいいというか、担当してくれた先生がマジで良かったです。
初めてでなにもわかりません、って正直に言ったのがよかったのかわからないですが、とにかく優しい先生でした。
病院のやり方とか治療の仕方なんかを色々丁寧に教えてくれて、すごく質問もしやすかったのを覚えています。
「ここまでわかってるかな?」って都度確認してくれてとてもありがたかったので、このフレーズは今も重宝しています。
同行してくれた歯科衛生士さんも優しくて、当日緊張して病院の前でうろちょろしていたとき、話しかけてくれて、着替えやらなんやら案内してくれました。
良い思い出。
結果、「訪問歯科」楽しいじゃん…って思えた
結果、その先生のおかげで訪問歯科楽しいかも…と思うことができました。
給料は少なかったんですけど(当時で2万円だったはず)、なんとか仕事を獲得することができました。
つらい環境で泣きながら学ぶというよりは、 人間関係の恵まれたところでゆっくりと進歩していくほうが性に合っている性格だったんだと思います。
つまり人間関係じゃん、と。
初めて訪問歯科のバイトする先生へ
強靭なメンタルをもっている先生はどこでも耐えられると思いますが、私のようにお豆腐メンタルな先生は、とにかく人間関係を大切にしてほしいです。
「ひと」の環境さえ良ければ、あとはなんとでもなると思っています。直感を大切にしてほしいのと、ダメだったら逃げ出す勇気を持っておいてほしいです。
あと、私みたいに誰か先生が同行してくれるパターンもありますが、最初から一人でやる先生も多いはず。
この時に心配なのはやっぱり技術的なことだと思います。私もそうでした。
結論、うまくかっこよくやる必要なしです。うまくやろうとするより、主訴の解決だけに集中しましょう。
痛い、腫れた…こういった症状をどうやったら解決できるかだけを考えると集中することができます。
今日はあれもやってこれもやって…とか、外来だとここまでやってる… にこだわるよりは、 患者さんの様子を見つつ、一点突破が良いかなと思います。
✔︎ 観血処置には気をつけて
抜歯やSPRのような血の出る処置は気をつけてください。高齢者は持病をもっていることが多く、血が止まりにくい人がいます。
わからないときは緊急時でなければ、むりにアタックしなくてよいと思います。
ざっくり注意すべき項目をあげておきます
・血圧、心拍などの全身状態
・血小板、PT-INRなどの血液データ
・糖尿病、骨粗鬆症などの病歴
・ステロイドなどの服薬
このあたりは以下の本に目を通しておくと損はないです。疾患ごとに対応がまとめられているのでわかりやすいです。
1万円ほどしますので、大学や病院などで探してみるのもよいと思います。自分の身を守る意味でも全身疾患は理解していきたいですよね。
【環境が命】初めての訪問歯科バイトで気をつけること
初めてバイトにいった日は、最低限の挨拶や服装をしていれば問題なしです。ここも無理に背伸びする必要はありません。
できないものはできない、わからないことはわからないでOKです。
大切なのは、バイトにいった「あと」です。
①:尊敬できる人と仕事する
②:資産になるスキルを磨く
③:失敗できる環境で仕事する
以上は見極めていきましょう。
①:尊敬できる人と仕事する
これが最重要です。
尊敬できる人と働くことで、やりがいや意欲をもって働くことができます。逆に、尊敬できない、合わない人と仕事すると信用もできず、ストレスだけ溜まります。
尊敬できるかどうかは最初わかりませんので、合う合わないのような相性は判断基準にして良いと思います。
✔︎ 訪問歯科は人間関係が悪いと地獄
訪問歯科は先生ひとり、歯科衛生士ひとり…で仕事することも多いので、密室で1日中一緒です。
人間関係が悪いと車内の雰囲気はマジで地獄です。
あう、あわない…は人間である以上付き物。環境が悪すぎるなら我慢する必要ないかなって思います。わりと訪問歯科のバイト求人はありますよ。
②:資産になるスキルを磨く
歯科医師としてはスキルは重要です。スキルで食べていく仕事だからです。
訪問歯科の場合は、歯だけでなく全身疾患との関わりも大切。
・高齢者
・認知症
・嚥下
このあたりは深掘りして学ぶ価値はあります。
私はもともと不器用で、なんでもオールマイティにできるのは無理だと早々に気づいたのため、嚥下に特化しました。
そこから義歯なんかに派生していった感じです。
それでもなんとかやれているので、不器用な先生の生存戦略だと思います。
なんでもできる先生、まじですごい。
✔︎ 副業もおすすめです
興味のある先生は副業もおすすめです。
歯科以外の仕事をすることで世界観が広がります。
関連記事 ▶︎【必見】 歯科医師にオススメの副業 10選【お小遣い以上を稼ぐ】
③:失敗できる環境で仕事する
失敗できる環境っていうのは、失敗を活かせ前向きに捉える環境のことです。
完全に人任せですけどフォローしてくれる先輩がいるって言うのも心強いです。
結果、患者さんの利益にもなります。
以前、親不知の抜歯で震えていたら先輩の一人に「動脈切っても私が何とかする。やれるだけやれ!」と言われて勇気が出たことは今でも鮮明に覚えています。
もちろん本当は失敗しちゃだめなんですよ。医療行為ですから。
でも絶対に失敗しない保証はありません。だから働く環境というのはとても大事です。
それに、失敗しても大丈夫な環境だと結局失敗は減るんですよね。
逆に絶対に失敗してはいけない…っていう鬼のようなプレッシャーがあるところでは、普段通りのパフォーマンスもできなくなります。
ミスしたときに、「死ねば?」みたい人格否定される、罰則がある、放送禁止ワードで罵られる…
実際に目撃しましたが、そういった環境はやばいです。
高速で成長するには良い人間関係、良い環境が必要不可欠だと思います。
【チャレンジは資産】訪問歯科は必要とされています
訪問歯科にかぎったことではないですが、初めてのバイトは緊張しますよね。
誰でもそうなので安心してください。
緊張はムリに隠そうとしなくて大丈夫です。恥ずかしいことではないですよ。
どんな人と出会うかは完全に運です。自分でコントロールすることはできません。
ですが、会った後に「どうするか」は自分自身で決めることができますし、何よりチャレンジした経験は自分の財産になります。
訪問歯科の需要はふえてくる
これから訪問歯科の需要は増えてくきます。根拠は以下のとおり。
・2025年は人口の30%が高齢者
・そのうちの5人に1人が認知症
2025年には高齢者の5人に1人が認知症と言われ、人数でいうとなんと約700万人です。
介護職員が40万人足りなくなる というデータもあります。
訪問歯科の需要は増えてくるので、自分が訪問歯科に向いているかいないか、確認しておいて良いと思います。
それに歯科のスタッフだけではなく介護のスタッフ患者さんの家族ともか変わるので、また違った世界を見ることができますよ。
仕事で病んだ経験からすると、病む原因は仕事の内容よりも人間関係です。
そのため「逃げ出す準備をしつつチャレンジする」みたいなスタンスが合う人もいるのかな…と思います。
心と身体が健康であればいつでもチャレンジできるので、まずは自分を大切にしながら挑戦してみてください。
今回は以上です。よい職場に巡り合いますように!
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